アートエバンジェリスト協会設立以来、アートエバンジェリスト認証 本科講座の授業をご担当いただいているAE-Salonチーフインストラクター、山内舞子先生の活動の一端をご紹介します。
フリーランスのキュレーターとして展覧会の企画立案から付随する様々な仕事をこなされたりとお忙しくも、ご自身でクリエートしていくその姿勢とバイタリティは、アートエバンジェリストの方、またアートを伝える活動にご興味のある方にも、大いに参考になると思います。ぜひ、レポートをご覧ください。


 

レポート:AE-Salonチーフインストラクター 山内 舞子

このたび、東アフリカのアートシーンをめぐる研究調査 の報告として、ナイロビを拠点とするふたりの若手作家の個展を行いました。

このうち裾野アートハウス を会場とする「Dennis Muraguri Woodcut prints」では、1980年生まれで首都ナイロビを拠点とするデニス・ムラグリ氏による彫り進みの技法による木版画を紹介しました 。その作品は我々日本人から見れば「いかにもアフリカ」と感じられるような鮮やかな色彩と大胆な構図により構成されていますが、実は、そこに登場する鮮やかなペインティングが施されたバス(マタトゥmatatu)の多くは日本車 。お客様のなかには画面の中に日本の自動車メーカーのロゴを見つけることで、作品やそれが制作された現地の文化に対して興味を深めてくれた方も多くいらっしゃいました。

また、The Gallery(三島) を会場とする「Patti Endo Drawings」では、1997年生まれのパティ・エンドウ氏のドローイングを展示しました 。東京に生まれ、ナイロビで育ち、そして英国で美術を学んだ作家は、現在はナイロビを拠点にインクと紙による作品を制作しています。そこで彼女は、自らが抱く人体への強い関心をヌードという表現方法によって顕在化させると同時に、一筆描きという技法を通じて「線」が持つ可能性を探求し続けています。会場でお客様の方々とお話をしていて興味深かったのは、多くの方がその作品から、人生経験を積んだ作家像を連想しており、「21歳」という作家の年齢を知って驚かれていたことです。

なお、キッチンを備えたThe Galleryでは、いずれも三島を拠点とする「おばんざいシスターズ」の監修よるケニア料理に着想を得たフードによるパーティー や、オーダーメイド焙煎専門店「COFFEE&CO.」が作品をイメージしてブレンドしたコーヒーによるおもてなしを行い、その他、アフリカの現代美術に関するレクチャーなども実施しました 。

会期中には地元の方々をはじめ美術評論家、学芸員、コレクター、アーティスト、写真家、デザイナー、イラストレーター、詩人、そして研究者の方々も来場し、そこでは作品鑑賞を契機として多くの対話が生まれました。このように、アートやアフリカの文化に興味を持つ方々の出会いや交流の機会としてお役に立てたこともたいへん嬉しく感じています。
アフリカはその人口増加と経済成長により多くの企業が進出先として着目していますが、一方で、アートをはじめその文化が日本で紹介される機会はまだまだ限定的であるといえます。ついては、今後のこのような取り組みにおいては、より多くのビジネスパーソンに興味を持ってもらうことを課題とし、これにより両地域間における相互理解にも具体的に貢献することができればと考えています 。

各個展のために制作したDM

各個展のために制作したDM


yamauchi_imageAE-Salon チーフインストラクター:山内 舞子

京都大学大学院文学研究科美学美術史学専修修士課程、国立西洋美術館インターンシッププログラム(教育普及)修了。美術館学芸員として50本以上の展覧会の企画・広報にたずさわり、現在はフリーランスのキュレーターとして活動。展覧会企画、美術評論そして教育機関等における講義のほか、ワークショップやツアーなど様々なアートプログラムのプランニングを手掛ける。千葉商科大学政策情報学部客員講師。