レポート:AE 遠山 統之

「隅田川七福神めぐり」って?

~北斎、広重時代から約200年続く風習!老若男女問わず、休日に短時間で楽しめる!〜

そもそも、「隅田川七福神めぐり」のルーツは、江戸時代の文化年間(1804~1818)にまでさかのぼります。ちょうど、第11代将軍の徳川家斉が政権をとり、「化政文化」と呼ばれる町人文化が広まっていた時代です。

美術の分野では、浮世絵技術が向上し、葛飾北斎、歌川広重らが活躍していました。
「隅田川七福神めぐり」は、このような時代に、江戸町民の間ではじまります。当時の町民たちは、多聞寺(毘沙門天)、白鬚神社(寿老神)、百花園(福禄寿尊)、長命寺(弁財天)、弘福寺(布袋尊)、三囲(みめぐり)神社(大國神、恵比寿神)の6ヶ所をめぐることで、新春に七福神を参拝していたのです。それから約200年を経た2017年新春、今回はアートエバンジェリスト協会主催のイベントとして、私は当時と同じ「隅田川七福神」を参拝し、江戸町民の文化の一端に触れてまいりました。

アートエバンジェリスト協会主催2017新春イベント「隅田川七福神めぐり」に参加頂いた方で集合写真!

アートエバンジェリスト協会主催2017新春イベント「隅田川七福神めぐり」に参加頂いた方で記念撮影!

なお、現在の「隅田川七福神めぐり」は、新春でなくても参拝可能で、巡路も分かりやすく表示されています。またどんな季節でも、訪れた神社や寺院で、花や草木の様子から、季節の移ろいをたくさん感じることができます。

散歩や街歩きがお好きな方には、絶対におすすめですので、是非訪れてみてはいかがでしょうか?(なお、徒歩がメインですので、晴れている日中に動きやすい格好で参拝されたほうがよいかと思います。)

今回の「隅田川七福神めぐり」振り返り
~三囲神社の鳥居は参拝方法変遷の象徴だった!~

今回は、全6ヶ所の七福神を、休憩を含んで約3時間かけて参拝しました。また、各々の神社や寺院では、ご同行いただいた江戸風俗研究家の藤浦正行氏から非常にわかりやすく、かつ、詳しい解説をいただくことができました。

中でも、非常に印象的であったのが、三囲神社に存在する2つの鳥居についてのもの。三囲神社は、七福神めぐりコースの最後の参拝場所として、浅草近くの隅田川沿い(浅草とは隅田川を隔てて反対側)に位置しています。そして、この神社には鳥居が2つ存在するのですが、実は、この鳥居こそが江戸時代と現代との参拝方法の違いをはっきりと示す象徴だったのです。
三囲神社の鳥居は、隅田川側に1つと、それとちょうど反対側(現在は住宅地になっている側)に1つ、現在も立っています。興味深いことに、三囲神社を訪れた当日は私たちを含め、大部分の人達が住宅地側の鳥居から、この神社を参拝していました。事実、巡路もこちら側の鳥居を目指す形で定められています。
しかし、藤浦氏によると、実は江戸時代には、我々が通った住宅地側の鳥居からではなく、反対の隅田川側の鳥居から三囲神社を参拝するのが、一般的であったとのことでした。
これは、当時においては隅田川を船で渡って三囲神社を訪れるのが、主であったためだそうです。すなわち、当時ここを参拝した江戸町民は、船からわずかに見える鳥居の頭を目指し、隅田川を対岸から渡って土手を越え、鳥居をくぐっていたのです。したがって、三囲神社の本来の参拝経路に沿った鳥居は、現在多くの参拝者が通る住宅地側のものではなく、今では一見目立たない、隅田川側のものなのだそうです。

このエピソードは、徒歩で容易に三囲神社に入ることができる現代の我々と、船で必死に川を渡って三囲神社に入らなければならなかった江戸町民との参拝事情の違いを、明快に示すものであるように思われました。

「隅田川七福神めぐり」を通して分かる、江戸時代と現代との違い
~三囲神社の鳥居をめぐって~

現在の三囲神社周辺では、隅田川沿いに高い堤防が築かれており、さらに堤防と神社との間には、交通量の多い道路まで通っています。そのためか、「本来の鳥居」であるところの、隅田川側の鳥居を訪れる人の数は、私が見た限りではごくわずかでした。おそらく、こちら側の鳥居に気づくことさえなく参拝を終えた人も、かなりの数にのぼるものと思われます。

しかし今回、藤浦さんから「2つの鳥居が象徴する江戸時代と現代との参拝事情の違い」をご解説いただけたことで、江戸町民がいかにこの「七福神めぐり」を大切なイベントとして位置づけていたかが、非常にわかりやすく理解できました。

三囲神社を訪れた際には是非、この2つの鳥居を両方とも訪れてみてください。きっと、江戸町民の「隅田川七福神めぐり」への思いの一端を感じとることが出来ると思います。

おしまいに
~是非、「隅田川七福神めぐり」に出かけてみてください~

今回は、約3時間という短い時間の散策でしたが、私自身がそこから得られたものは、非常に大きかったです。

新春はもう終わってしまいましたが、今回ご紹介した七福神めぐりに、みなさんも一度出かけてみてはいかがでしょうか?季節を感じ、歴史を感じ、そして今を見つめ直す非常によい機会になるかと思います。